指定管理者からまちづくりの担い手へ町とつくった事業で人材育成 青森県階上町

2014.03.29トピックス

青森県階上町のNPO法人 ワーカーズコープ階上(はしかみ)地域福祉事業所は、階上町から緊急雇用創出事業コミュニティサポートスタッフ育成業務を受託して、2013年5月13日から4人の新しい仲間を迎えて実施しています。この事業は、12年4月から指定管理者で運営するフォレストピア階上(売店、食堂、貸し館)で、地域とのネットワークを築くためにあらゆるイベントを仕掛けてきた1年間の活動が評価され、ワーカーズコープが町と相談してつくりあげたものです。その10カ月の取り組みを報告します。(所長  高野和子、松川由香)

●町の資源活かして

指定管理者だけでは経営が厳しいので、地域に出ること、知ってもらうことを積極的に進めてきました。その結果、町がワーカーズコープをまちづくりのパートナーとして期待、様々な提案ができる関係になりました。

町と相談してつくったコミュニティサポートスタッフ育成業務は、高齢者の「生きがい・やりがい」の持てる場や働ける場づくりと、地域の課題解決ができる力量を持ったサポートスタッフを育成するものです。

新しい4人の仲間が、様々な教室やイベントの開催、地域の困りごとを解決する生活支援活動を行いながら、オン・ザ・ジョブ・トレーニングで地域サポートの力をつけています。また、生活支援活動を4月以降は自前事業として継続する予定です。

さらに、町の依頼で、観光と特産品づくりにも取り組んでいます。観光は三陸復興国立公園に指定された町の自然資源を活かした、「町めぐり」や農業体験を提案。リピーターやIターンを増やすことを視野に、企画しています。特産品づくりは、名物のそばと地元産の栗、柿、クルミを使ったミニそばまんを企画して、現在試作品を作っています。

正月のカルタ大会は、老若男女が参加。勝った子どもは大喜び

正月のカルタ大会は、老若男女が参加。勝った子どもは大喜び

●子どもも巻き込み

事業は、フォレストピアを拠点にして実施。

高齢者の「生きがい・やりがい」づくりは、健康麻雀教室、クラフト教室、押し花教室、農業体験などを開き、どの教室も回を重ねるごとに参加者が増加。麻雀の参加者は「月曜日、ここさ来ねば、ただぃえさ(家に)いるだけだ」、押し花の参加者は、「孫にカードを送ったら、おばあちゃんうまいね、ありがとうと電話で言われで、嬉しがった」など話し、みなさん、生き生きと楽しそうに活動しています。

高齢者の意識改革として、地域のニーズを踏まえた農業に関するセミナーを開催。25人が参加し、質問も活発に出ました。介助研修旅行は、車いす利用者の介助の仕方を学びながら、滝沢村「お山の湯」を訪問。参加者のほとんどが楽しかったと話していました。

子どもたちも巻き込み、多世代交流も。

ハロウィン祭りでは、小学校に協力を依頼して、「おもしろかぼちゃ」を制作してもらい展示。正月のカルタ大会には、高齢者に混ざって子どもたちも参加。「おかあさんやおばちゃんたちに勝った、優勝したぞ~。ばんざーい!」と叫ぶ子も。年齢差を忘れた真剣勝負で、盛り上がりました。

生活支援活動では、近隣の高齢者の依頼による庭木の剪定蜂の巣駆除、家庭菜園の草取りなどに対応しています。

昨年8月からは、高齢者と組合員の自己啓発のために、「劇団かたりば」を結成。高齢者の参加はこれからですが、演劇指導を受け、福祉施設や高齢者の集会に参加・慰問の活動をしています。演劇を通じて親交の深くなった田代駐在所所長の依頼で、9月27日の青森・岩手県境交通安全大会に出演。これが私たち「劇団かたりば」のデビューで、素晴らしいものになりました。後日、「警察への協力」として表彰され、地域の方々と交流を深める活動に意欲が増しました。

これから、アジサイロード植樹をします。フォレストピア階上を中心に、階上岳登山口・わっせ交流センターまでの道沿いで花を楽しめるようにしていきます。

■階上地域福祉事業所 かだりば

青森県 階上町大字鳥屋部字大柿1-2 フォレストピア階上

TEL:0178-88-4449

FAX0178-88-2044

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