緊急声明「新型コロナウイルス感染拡大の危機に際して」

2020.03.10お知らせ

日本労働者協同組合(ワーカーズコープ)連合会より               2020年3月6日

緊急声明「新型コロナウイルス感染拡大の危機に際して」

新コロナウイルスの感染拡大の危機に直面し、社会的な混乱を避けるために、私たちの見解を明らかにし、国・行政への要望と、労働者協同組合法の制定を力とした「協同と共生」を基盤とする地域・社会づくりに向けた思いを表明する。

1,社会的な混乱を避ける努力を
新型コロナウイルスは未知のウイルスであり、治療方法が確立されていないことからくる不安が広がっているが、ウイルスの特徴・検査・感染予防についての知見は徐々に確立されてきている。今まず重要なことは、社会的な混乱を避ける努力である。
そのためには、すべての人々の生命と人権を守る立場から、公的に
①正確で科学的な知見が情報開示され、
②その情報に基づく対処の指針が明示され、社会的に共有し、
③さまざまな困難と混乱に対する対策と保障が明らかにされることが求められる。
この間の対応は、上記の点から見ても不十分である。とりわけ突然の国からの「全国一斉・一律の小中高校等の休校要請」は、行政機関や関係する事業者、そしてあらゆる人々に混乱をもたらし、社会的不安を広げ高めている。これは、基本的人権を侵害し、差別を助長しかねない事態である。

2,私たちワーカーズコープの役割と課題
ワーカーズコープは、全国で400を超える子育て施設、200を超える高齢者施設を運営し、生活困窮者、困難を抱える人々や若者の支援にも100カ所以上の地域で携わっている。
私たちは、より多くの人々と協力・連携し、地域において感染拡大を徹底して防ぎ、人々の命と人権を守ることに全力を尽くす。
そのためにも、現場で起きている混乱と困難を具体的に把握・共有し、危惧されるリスクを想定して行政に示し、徹底した協議を行い、公的な対策の推進を求めるとともに、自らも役割を果たしていく。
組織内外での助け合い・支え合いを推進し、緊急対策と抜本戦略の両面から課題を整理し、推進していく。とくに、働く者の協同組合(労働者協同組合)として、組合員の命と健康を守り合い、さまざまなリスクを防ぐとともに、安全確保を優先した対策と休業等の保障を講じる(公的財政保障を同時に求める)。

3,国・行政に要望すること
この事態に際し、「いかに命を守るか」が問われているが、感染リスクの高い高齢者や基礎疾患を有する人々をどう守るかが一つの焦点といえる。
ところが、介護保険制度や障害者総合支援制度という公的な制度に基づいて行われている事業及び事業者には財政的保障が全く示されていない。このまま推移すれば、公的役割を担う多くの事業者が人的・経営的困難を極め、多くの倒産を引き起こしかねない。これは社会的基盤の劣化を招く。こうした事業者が社会的役割をさらに発揮できる方向へと、政策的・財政的にリードする行政の役割が求められている。
さらに、起こりうるリスクと困難・混乱に対する公的な財政措置、省庁を横断する統一的な情報提供、福祉・教育的インフラを支える事業者及び労働者への基本的な指針の提示、公的な支援と社会的保障の充実と基本的人権の尊重を政府に要望する。
また、事態に対応する医療機関の整備・拡大、検査・治療体制の早期確立と充実を求める。とくに、第一義的には、現場と当事者の声を集約し、社会的に弱く孤立しやすい人々への特別の対策を講じるよう要望する。

4,協同と共生の地域・社会に
今回の事態は、食・農を含め、私たちが健康であるための生活文化を問い直し、地域における支え合いと共生の文化を日常的に醸成する必要性を示している。
私たちは、協同と共生を基本的価値とする社会、持続可能な地域を共通目標とし、過度な貧富の差や社会的格差と差別を是正し、かけがえのない個性を認め合い、幸福で人間的な豊かさを実感できる社会への転換を進める。
人間の社会は本来、自然と共存・共生する生態系の中にある。その中で育ち合い・学び合い・働き合い・暮らし合うという、コミュニティの基本原理に立ち返り、地域の産業と経済を創出していくことが求められる。
そのためにも、法案審議が目前となっている「労働者協同組合法」を一刻も早く制定し、今回のような危機も、住民自身の支え合い・助け合いとその事業化によって乗り越えていく道をひらくよう強く要望する。

日本労働者協同組合(ワーカーズコープ)連合会 理事長 古村伸宏

<<前の記事へ 一覧へ