協同労働が拓く新しい地域づくり

地域と結んだ様々な仕事おこし

パートでなくまちづくりの主体者として

写真

 私がセンター事業団と出会ったのは1987年の5月、生協の物流センターができ、そこの仕事に応募したのが始まり。35人の職場の仲間全員が「生協のパート」という意識だったと思う。
 ところが仕事を受託したセンター事業団からは「雇う、雇われる関係がない」「短時間就労であっても組合員として主体的に働く」というような話を聞かされた。
 やがて、現場の組合員の中から所長を出すように言われ、私が所長になることに。金銭にかかわる実務も分担し、委託料金や経費がわかるようになるとみんなの主体者意識が高まっていった。
 そんな中で、不況の波が生協にも襲い、委託解除を通告され、「委託に頼らない自分たちの仕事をつくろう」と、仕事おこしの話し合いがはじまった。いろいろ議論する中で「本物の豆腐づくり」に決める。途中で議論が白紙に戻ったり、仲間どうしで激しくやり合う場面もあった。自分たちで仕事をおこすのは大変だけど、そこを避けていたらいつまでも「雇われ者」でいるしかない。
 1995年6月に「深谷とうふ工房」を開店した。その後、この事業から高齢者への配食サービスや介護事業へ発展していく。事業と同時に開催してきたホームヘルパー講座も修了生が1,000人を超え、現在では介護現場が3カ所、2010年には念願の自前の建物を建て、とうふ工房も2店目をオープンした。仕事おこしへの挑戦はまず一歩を踏み出し、行動してはじまると実感している。

(岡元かつ子)

地域資源循環システムづくりで若者に働く場を!

写真

 千葉県芝山町にある芝山地域福祉事業所あぐりーんは、厚生労働省から受託した若者自立塾や基金訓練の合宿型若者自立プログラム(両者とも現在終了)を通じて、人との関わりが苦手な若者の自立就労支援などを行ってきた。共同生活をしながら生活リズムの回復や演劇・職業体験などのさまざまな体験を通して、自信の回復と就労へ結びつくことを目指していた。しかし、ブランク期間が長いことから採用がなく、また採用されても長続きしないケースも多くみられ、若者たちが生き生きと働ける仕事を自分たちでつくりだすという想いに駆られていた。
 このような中、事業所に近接する成田空港内のレストランや周辺のホテル、機内食工場から出る廃食油を回収してBDF(バイオディーゼル燃料)を精製し、ホテルや自治体の送迎バス等への利用をはじめ農業機械にも利用して、空港周辺の遊休地を活用した菜の花栽培や菜種油の製造・販売といった地域資源循環システムの構築ができるのではないかという構想が生まれ、挑戦がはじまった。
 幸い、地元自治体の協力もあり、現在では空港内のレストラン、機内食工場、周辺のホテルなどから廃食油を回収し、BDFを精製、成田エクセルホテル東急やホテル日航成田の送迎バス、神崎町のコミュニティバス、農家の農業機械への供給へと広がった。現在、若者自立塾の卒塾生2人が周囲の人たちに支えられながら、元気に働いている。
 今後は、「夢広がる、千葉県北総地域の総合福祉拠点づくりをめざし」BDFプラントの規模拡大・農産物加工所・農家レストラン・養蜂事業などに挑戦し、これまで結びついてきたネットワークを活かし、複合的な事業展開を展望し、もっと多くの若者が働ける地域をめざしている。

(湯本理沙)

おなかも心も満腹になる児童館を目指して

写真

 福生市熊川児童館(学童クラブ併設)では、「くまっこまんぷくDAY」(毎月1回)を実施している。たのしい企画(学習支援)+おいしい企画(食の支援)を通して大人も子どもも「心もお腹もまんぷくになろう!」というのがコンセプト。子ども達の抱えている困難を地域の方々と話し合いながら「できることをしていこう!」「これならできるよ!」を出し合いこの取り組みは始まった。
 第1回目の「太鼓演舞とおにぎり&スープ」を皮切りに毎回盛りだくさんな企画を行っている。
 熊川地域で活動をされている団体の方、近隣地域の特別支援学校相談室の方、元中学校の先生、近隣中学校のおやじの会の皆さん、英会話スクールの先生、町会や民生委員、主任児童委員の方、小学校PTAの方、畑づくりに協力してくださっている方等々…多くの大人たちが関わり、「始めてみて良かった!」と誰もが感じている。「くまっ子応援団」を結成し、その中で様々なアイデアを出しながらますます活動が広がっている。
 困難を抱えた子どもを優しく見守っていた民生委員さん、行儀の悪い子どもに容赦なく叱りつけていた町内のおばあちゃん、差し入れ(お皿いっぱいの柿)を大喜びでほおばった子ども(お昼を食べずにお腹を空かせていた)、ポップコーン山ほどつくってきてくださった方、「甘酒作るよ!」と駆けつけてくださった方など毎回地域の方々の想いに支えられながら実施している。
 正直、地域の大人たちが子ども達のためにこれだけ活動してくださり、この場が地域交流の場につながるなどと思ってもいなかった。地域の力に支えられ私たちはたくさんの勇気をいただき励まされた。
 これからも地域の力を信じて利用者・地域・働くものの協同を育み続けたいと思っている。

(杉山由美)

生活保護受給者の自立を支援

 2008年に起きたリーマンショック以後、派遣切りや製造業関係の雇用情勢の悪化により、働くことのできる若い世代の生活保護受給者が増加してる。
 そうした人たちは、それまでの職歴の中で、契約社員や派遣といった雇用形態では、資格や経験を積むことが難しい状況にある。
 再び仕事を求めて就職活動を始めるが、雇用情勢が厳しい中、採用する企業も、即戦力や有資格者を求める傾向は強く、資格や経験がない生活保護受給者は、就職が厳しく、あきらめや孤立感を強めている。また、一日でも早く就職して、生活保護から抜けたいという思いが強すぎて、焦りを感じて自暴自棄になってしまうこともある。
 私たちは、埼玉県の「生活保護受給者チャレンジ支援事業(アスポート)」のうち、就労支援を2010年9月から受託し、生活保護受給者の方々に対する、職業訓練の受講から再就職までの伴走型支援を行っている。
 家庭訪問やハローワークに同行することを通じて、生活保護受給者の方々の、就職活動のつまずきや悩みを共有し、そして職業訓練を受講することで、社会との接点が生まれ、少しずつ自信を取り戻している。
 私たちは、階段を一歩ずつ、ゆっくりと昇るように、その人その人の状況に合わせて、確実に力を身につけるための支援を行っている。
 そして、身についた力によって、新しい仕事が決まり、私たちの前で「就職が決まりました」と報告してくれる姿は、どの人も自信と希望にあふれている。
 私たちは、生活保護受給者の方々の持っている力を信じ、挑戦する気持ちを支え、これからも多くの人たちの希望を生み出す力となっていきたいと思う。

(下村朋史)