政策・提言

完全就労の実現と新しい福祉社会の創造へ~3つの制度の確立を

 東日本大震災は我が国のこれまでの社会や経済、労働のあり様の脆弱さを露呈すると共に、これまでのエネルギー政策に対する反省と根本的な見直しを迫られることになりました。
 また、グローバル資本主義の中で、我が国は経済成長の行き詰まりと企業福祉の終焉を迎えており、高失業と雇用不安、孤立と疎外の「無縁社会」、貧困の連鎖と格差拡大が浮かび上がっています。
 今日、日本社会は大量生産、大量消費、大量廃棄の大工業社会からの根本的な転換が求められており、それは脱原発と再生可能エネルギー政策への転換、地域コミュニティの再生と結んで、人間が生きることの本当の豊かさを問い、自然とともに生き、人と人の絆に支えられる生活と地域、労働の新しいあり方−F(食・農)、E(環境)、C(ケア)を柱とする自給・循環型コミュニティ経済−を、地域から無数に作り出していくことではないでしょうか。
 私たちは、「働きたい」と願う誰もが安心して働ける社会−「完全就労社会」の創造、そしてその「働き」がコミュニティの再生と生命の循環に寄与しながら、ディーセントワークの実現へと向かう−労働の人間化と地域の人間的再生のための「新しい福祉社会」の創造に向けて、以下の3つの制度の確立を提起しています。

「協同労働の協同組合法」の制定

 2008年2月、国会において超党派の「協同出資、協同経営で働く協同組合法(仮称)を考える議員連盟」が結成され、800超の地方議会からの早期制定を求める意見書採択を受けて、「この法律は、組合員が出資し、経営し、働く意思のある者による就労機会の自発的な創出を促進するとともに地域社会の活性化に寄与し、もって働く意思のある者がその有する能力を有効に発揮できる社会の実現に質することを目的とする」(2010年4月14日、超党派議連総会)と明記され、現在法制化の最終段階を迎えています。

 

 

「コミュニティ事業支援条例」の制定

 非営利・協同セクターによる「公共的社会サービス」を創造するコミュニティ事業の創出と事業者の発展を支援することを通して、コミュニティにおける就労の促進を目指す条例です。事業者協議会の設置と自治体の政策的支援を定めた条例案を提起します。

 

 

「公的訓練・就労事業制度」(仮称)の創設

 コミュニティにおける新たな産業創出や従事する就労分野への変更を制度的に支える研修・訓練制度と、公的に就労保障する制度を組み合わせた制度として提起しています。生活者・市民の「働く」「暮らす」「生きる」を社会的に支えながら、自立と連帯の力で社会的に居場所と仕事を創り出すことを基本に、地域における就労能力・生活能力、特に「仕事をおこす能力」を全面的に高めることに最も重要なテーマを置いています。

 

 

「公的訓練・就労制度」(仮称)の構想とイメージ

 

第1期事業

(1)生活の安定と緊急・臨時の就労・雇用を目的として、比較的単純な地域密着型の公共事業(国が予算化し地方自治体が事業を策定する)に、失業者等が一時的に就労する。 
(2)緊急・臨時の第1期事業(最長6カ月程度)の間に、キャリア・コンサルティング等の就労支援を通じて、コミュニティ経済・コミュニティ事業の具体的な就労内容について方向性を検討し、個別の「コミュニティ就労プラン」を定める。
(3)「コミュニティ就労プラン」に基づき、①就労開始、②職業訓練開始、③研修就労+職業訓練併用(第2期事業)のいずれかへと進む。
(4)②「職業訓練」は、既存の公共職業訓練・求職者支援法に基づく職業訓練、専門学校等の研修・学習等を活用し、必要に応じて「失業保険」「訓練・生活支援給付金」等を活用し、生活の安定を確保する。

 

第2期事業

 (③研修就労+職業訓練併用)は、研修就労(月10日相当)と職業訓練(月10日相当)を並行して進め、研修就労は労働に応じた報酬を得、職業訓練時間に相当する「訓練・生活支援給付金」の支給を受けるか、日雇い雇用保険の活用等を通じて、生活の安定を確保する。なお、第2期事業は最長2年程度とする。

 

第2期事業終了後

 コミュニティ就労への移行とコミュニティ事業の立ち上げを円滑に推進するために、地方自治体は重点分野雇用創造事業・ふるさと再生雇用創造事業等を活用し、積極的にこれを支援する。