役割持ち、自分らしく働ける場を 多機能型訓練事業所「あじさい」開所

2015.10.21トピックス

 千葉県松戸市にある「あじさい」は、2006年に高齢者デイサービスとして開所。当初は、経営が軌道に乗らず、閉鎖対象にもなりましたが、改革で利用者が増え、経営も改善。すると逆に、職員が不足する事態に。
 そんな時就労したのが、北関東事業本部の職業訓練講座を修了した障がい者。 懸命に働く姿を見て、「介護の現場なら、障がいがあっても自分にあった働き方ができる」と確信が生まれ、就労支援センターや若者サポステなどから、障がい者や困難を抱える若者を迎えるようになりました。
 現在、松戸「あじさい」の就労者の半分は、障がい者や若者サポステ出身者です。
 また、障がい者が、介護資格を取得する機会を増やそうと、千葉県に公的訓練の開設を申し入れ、13年に「精神障がい者介護職員初任者研修デュアルシステムコース」が実現。「あじさい」が運営を受託し、これまでに25人が修了しました。
 しかし、資格を持っても、障がい者が民間の事業所に就労するのはなかなか難しい現実も。
 他県で、就労継続支援B型で障がい者を介護施設が受け入れているという事例を知り、「『あじさい』がやるべき事業」と、B型事業所の立ち上げを決意。昨年4月から準備を進め、「あじさい」から徒歩10分の元歯科医院に開所しました。
 多機能型「あじさい」では、介護施設(現在、4社が承諾)や、東関東の介護、清掃現場での職場体験を柱に、内職や、居場所活動などの自立訓練も。
 待合室だったスペースで、定期的に地域の人たちを招いてサロンも実施する予定です。
 「職員が一方的に考えるのではなく、当事者と一緒に、事業や活動の中身をつくっていきたい」と、小林文恵所長は話しています。
 
 10月18日の開所式には、60人が参加。
 労協センター事業団藤田徹理事長は、「松戸『あじさい』は、地域に必要とされる事業を着実におこし、障がいのある人や困難を抱える若者が、気持ちよく働いている事業所。福祉から地域づくりにつながるような拠点にしてほしい」とあいさつ。
 小林所長が、「障がいのある人の働く場づくりをめざし開所。地域に必要とされる事業を、皆さんとおこしていきたい」と決意を述べました。
 ベールヘルツ田島美穂専務取締役、三郷市障がい者就労支援センター大野弘幸さん、まつど地域若者サポートステーション森尚美センター長が来賓あいさつ。
 森さんは、「あじさいさんには、人間関係に傷ついた若者を、いつも温かく受け入れてもらっている。今後も連携して」と期待。
 センター事業団東関東事業本部大場寛本部長は、「多機能型の事業所は事業本部ではじめて。地域課題から、複合的に事業を広げてほしい」と締めくくりました。

元歯科医院だった建物に開所

元歯科医院だった建物に開所


「あじさい」の職員の皆さん

「あじさい」の職員の皆さん

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